根本聡一郎『プロパガンダゲーム』を読了。
ゲーム部分のつくりこみはすごい
「君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい。
出典:http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-52043-9.html |
実際に〈プロパガンダ・ゲーム〉がはじまってからはページを繰る手がとまらないほどおもしろいの
気づけば誰に言われるでもなく、学生のほぼ全員がメモを取るようになっていた。だが、「誰かがやっているから続く」という行動が嫌いだったので、今井は気にせず説明を頭に叩き込むことにした。今、メモをとっている人の大半は、どうせゲーム中にそれを確認しないだろうという気持ちもあった。
(P20/L6~9より引用)
おい今井ケンカ売ってんのか!こっちはイラレまで使って大変だったんだぞ!
同じところでつまづく人が今後いるかもしれないので、参考までに、私
プロパガンダ・ゲームとは
・仮想国家【パレット国】が【キャンパス島】をめぐって領有権を主張しあう隣国【イーゼル国】と戦争をすべきかどうか、戦争推進派の〈政府チーム〉と戦争反対派の〈レジスタンスチーム〉にわかれて制限時間2時間の宣伝合戦を行い、“国民投票”によって勝敗を決める。
・両チームは専用のSNS「パレット」を用いて、3分割された画面のうち左右のスペースをそれぞれ専用ページとして活用し、画像や文章で自陣営の主張を“宣伝”する。
・最終結果は無作為に選ばれたパレット国民(20代~50代の男女各10名ずつ5:5の一般市民)による“国民投票”で決定される。自陣営の票数が相手を上まわることが勝利条件である。
・両陣営にはそれぞれ〈スパイ〉が1名ずつ紛れこんでおり、彼らは《盗聴》という専用アクションを行うことによって潜伏先での一部の会話内容を自陣営に告発することができる。
・〈レジスタンスチーム〉はチームアカウントの他にそれぞれ1つずつ市民アカウントを保有しており、一般市民のみ投稿することのできる〈広場〉で“市民”として書きこみを投稿することができる。
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だいたいこんな感じ。興味が湧いてきましたらぜひ実際に読んでみてね、っと。
個人的にはレジスタンスチームの主人公・
作中でも言われていたけれど、本当にルールはそのままで〈パン派〉〈ごはん派〉みたいな内容でゲームをしてもおもしろそう。ボードゲーム化したら売れそうだし私なら買って遊んでみたい。それくらい〈プロパガンダ・ゲーム〉そのものはつくりこまれていてよくできていました。
蛇足感あるラストが引っかかる
領有権、集団的自衛権、隣国からの密漁船…フィクションの中のさらにフィクションであるはずなのに、
プロパガンダ・ゲーム終了後からの話はエンターテイメント性が完全
あまりにもモヤッしたので(ネタバレの同意を得たうえで)本著を読
ボードゲーム好きにも意外とおすすめ?
こういう社会派というか硬めなおはなしって、普段まったく読まなく
昨今のボードゲーム的な雰囲気もあるので、人狼ゲームとか(
大衆というものの本質がよくわかるなかなかの良著でした。ぜひ。