第26回文学フリマ東京に行ってきました
2018年5月21日
5月6日、第26回文学フリマ東京へ行ってきました。第20回、第22回、書いていないけど第25回につづいて4回目の文学フリマですが未だにあのランウェイ慣れません。視線恐怖症には苦痛。あそこを歩いているといつもポケモンの初代だか金銀だかを思いだします。サイクリングロードとかにこういうところなかったっけ。それはさておき、今回も文学フリマでの出会いや交流、買ってきたものなどを記していきます。
なにをしにきたのだろう
5月6日、午前11時45分頃、会場がある東京流通センターに到着。予定よりちょっと早めに着いてしまった。
毎回そうなんだけど今回も案の定、会場に着いたら緊張すさまじい吐き気をもよおしたので敷地内にあったタリーズでココアラテを飲んで一旦落ちつくことに。そのあいだ一緒に来た当ブログの技術班わかばは黙々とスマホゲームをやっていました。あ、めちゃくちゃタップしてる。なにフィーバーモード突入してんだよ。こちとらココアラテの生クリームで吐き気がフィーバーモードだわ。――私たちは文学フリマになにをしにきたのだろう。
我にかえって会場へむかうあいだココアラテの味を思いだそうとしたけど、さっぱり覚えていなかった。
早稲田大学児童文学研究会
最初に足をとめたのは早稲田大学児童文学研究会さんのブース。1冊、『そうして僕は切符を見つける』という作品を購入させていただきました。架空の電車をテーマにした作品ということで作中に登場する駅名が記された“切符”のおまけつき!しかもこれがまた凝っている。
直感で気になる駅名がありましたらどうぞ、ということで、「響野」という駅名の切符を選びました。先日ようやく全編読み終わりましたが、好きだなぁと思う作品に響野駅が出てきたので選んでよかった。切符を眺めるたびにこれ選ぶとき緊張でめっちゃ手ふるえたな…と見苦しかったあのときの自分を思いだして脳内反省会がはじまるのは内緒。
私も高校時代は文芸部だったのですが、小規模な部活だったのでこんなふうに本格的な活動はできなくて、作品の1冊1冊がとてもまぶしく見えました。文芸部がある学校に入りたいって高校決めたはずなんだけどなぁ。こんな青春を送りたかった。コミュ障の話を静かに聞いてくれて本当にありがとうございました。
文学フリマ戦利品⑤早稲田大学児童文学研究会さんの『そうして僕は切符を見つける』うるし山線の1/fのゆらぎにまどろんでいるとあの頃の青くてすっぱい感情がほんのり浮かびあがってくる。ページを閉じるとき改札で通した切符には「青春」と書いてあったのかもしれない。また、乗りにくるよ。
— 麦 (@BLT691) 2018年5月17日
ひつじの本棚*
次は事前にWebカタログで見つけて気になっていたひつじの本棚*さんへむかうも、先客がいらっしゃったので一度会場奥の椅子に腰を落ちつけ、遠くからチラチラと様子をうかがう。人見知りってこうやって話しかけるタイミングを探るんだよ、こわいね。
あきらめようかな、と弱気になったそのとき客足が途切れ、私の中に住んでいる孔明が「今です!」と突撃の合図を送ってきたので勇気をだしていよいよブースへ。読みたかった『紅茶のある風景』なんとラスト1冊だったらしい。瓶詰めというところに乙女心をくすぐられる『窓辺の魔女』とともに無事購入できました。奇跡。頭の中に孔明が住んでてよかった。持つべきものは友ではなく孔明。
よかったら創作のお題おみくじもどうぞ、ということで、書くほうは高校卒業あたりからほとんどやっていないのですがせっかくなので1枚引かせてもらいました。お題は「飛べない鳥」。書いたものがこちらです。心に描いた光景が思いどおりの言葉にならないもどかしさを久しぶりに味わえました。
読むひとときも書くひとときも楽しませていただきました。ありがとうございました。さて、紅茶でも淹れるか。
文学フリマ戦利品①ひつじの本棚*さんで購入した『紅茶のある風景』『窓辺の魔女』どちらも作品への愛情とこだわりを感じる美しいデザイン。このままずっとこの夢心地が続けばいいのにと思うけれど同時にその儚さがたまらない。まさに1杯の紅茶のような物語たち。愛おしい。
— 麦 (@BLT691) 2018年5月7日
みのまわり
私が脳内孔明の「今です!」で突撃をかましているあいだ、わかばのほうはカタログを読みながら待機していたのですが、戻ってくるまでのあいだにいくつか目星をつけたみたいなのでそのあとしばらくはそちらにつきあっていました。
ふと、美しい装丁の本に出会い足をとめます。みのまわりさんのブースでした。身のまわりにあるものをテーマに小説やエッセイを書いているんですって。先ほど目にしたのは〈靴〉をテーマにした『みのまわりvol.1 靴』だそうで、読んでみようかなと声をかける刹那、
「こちらはおまけでどれか1つ、お好きな“鍵”をさしあげています」
『みのまわりvol.2 鍵』を購入しました。完全におまけにつられた。〈鍵〉がテーマということで鍵がついたしおりをいただきました。「たくさん種類があるんですね」「結構あるんですよねぇ」とおしゃべりしつつあれもこれもと悩んだのですが最終的に「じゃあ一番大きいやつにします!」人間は切羽詰まったときにこそ本性が出る。テストに出るから覚えておこう。優柔不断でなかなか決められないのをゆったり待ってくださってありがとうございました。
そんなことをしていたら、案の定、わかばとはぐれた。
文学フリマ戦利品③みのまわりさんで購入した『みのまわり vol.2 鍵』最初の数ページをめくったときからずっと頭には「上質」という言葉があった。私には縁遠く、得体の知れないものだけれど、説明できない感情の中によいものだという確信がたしかにある。まるでムスクの香りを嗅ぐような心地がした。
— 麦 (@BLT691) 2018年5月13日
友達ができました
出口で待ちぶせしてどうにか合流できました。私が欲を丸出しにしているあいだにちゃっかり奥田洋さんの『わたげ』、codomopaperさんの『泥棒』、と購入していたみたいです。私もあとで読ませてもらおうっと。ぼちぼち時間も経ったので、それじゃあ、今回は帰りましょう。
文フリ最後の戦利品はカバ。 pic.twitter.com/sufSNLL0yw
— 麦 (@BLT691) 2018年5月6日
浜松町駅でガチャガチャの自販機というなんだかわけのわからないものを見つけたのでまわしておきました。よりにもよってカバが出た。文学フリマから帰ってきたあと緊張から開放されて力尽きる私にめちゃくちゃ似てる。名前は「文鎮」にしました。次回からは文鎮と文学フリマ行こう。やったー!最後の最後に友達ができた!
総括
今回は会場のすみっこで泣くこともなく、おしゃべりもできたし、衝動買いをせず読みたいなと思う本を購入することができたし、Twitterで当日の実況や作品の感想もツイートできたし、サボらずこのレポートも書けたので、85点くらい、あげてもいいよね!
今回は当日の朝にチラッとしか下調べできなかったので、次回はもうちょっと念入りに出店される方々の下調べしておきたいな。物語や形状などを問わず個性的な本、掌編小説、シンプルとコンパクトが好みなので、次回はそういう本にもっと出会えるといいな。あとおまけ。自分が「おまけ」という言葉に弱い生きものなのだと今回はじめて知りました。
次回の文学フリマ東京は11月25日開催だそうです。今のところは行く予定。今回訪れたサークルの方々がまた出店されるようでしたら恒例の感想を綴ったお手紙をわたすやつやりたいですね。
前回のレポートの最後に書いたきりさっぱり進展していない出店の話ですが、出店するにしても出すものがないんだよなぁ。ブログの延長線と考えるとジャンルは評論になるのだろうか。ええ…恐れ多いわ。今回記事にすべりこませた掌編小説になにかしら手応えを感じたら掌編小説集でもいいかもしれない。いずれにしろ、出店はまだまだ先のことになりそうです。Mugitterがもしも文学フリマに出店したら読みたいもの、なにかあったら、教えてください。
それではまた、11月の文学フリマ東京レポート(予定)でお会いしましょう。
文学フリマ公式サイト:https://bunfree.net/
おまけ
読ませてもらった奥田洋さんの『わたげ』とcodomopaperさんの『泥棒』の感想ツイートです。
文フリ戦利品②codomopaperさんの『泥棒』を読む。泥棒とは結局何者だったのか。真意を求めてまたページをめくる。切り絵による世界観がくせになる。胸がさざめくような物語に気づけばとっぷり…と、そうじゃなかった。真意を求めてまた最初から。このチャーミングな泥棒に私は時間を盗まれている。
— 麦 (@BLT691) 2018年5月9日
文学フリマ戦利品④奥田洋さんの『わたげ』普段あまり読まないテイストの小説なのでなかなか感想がまとまらないのだけど個人的には表題作と「図書館にて」が好き。葉祥明氏の詩の一節だったと思うけど、孤独をもっとも親しい友とせよ(うろ覚え)、というのを思いだした。
— 麦 (@BLT691) 2018年5月14日