前記事更新から少々間が空いてしまいましたが、
難航していた小説ようやく読了したので更新です。
感想を書いていく前に1つだけ。
すでにTwitterでも報告しましたがここでも改めてね、
みなさんにどうしても伝えておきたいことがあります。
『献灯使』の感想記事(編集時間1時間強)ですが、
データが一瞬にして消えました(iДi)
まぁ感想自体はノートに書きとめてあるので、
伝えたいことは消えたデータと変わらず書けます。
あとはモチベーションの問題(迫真)
編集時間1時間強。
察してもらってるかもしれませんが結構ガッツリ長文です。
消えたデータを再現できるかどうか結果はシメのときに!←
読むのにとても時間のかかった1冊でした。
読書というか、もうね、闘いだったものね( °д°)
『献灯使』が投げかけてくる多くの「?」と、
自分が持つすべての情報・思想との闘い。
文字数の関係でメモ書き並の感想です。
献灯使:
鎖国した日本・高齢なほど健康な老人・消滅した文化――。
嘘を信じさせる話術の1つに「真実に嘘を混ぜる」というものがある。
震災、放射能問題、高齢化社会……それらの真実にまぎれる“嘘”。
〈人間が想像できることは必ず人間が実現できる〉というしねぇ。
実現できる、あるいはそれは、実現“できてしまう”といってもいい。
〈歴史はくりかえす〉という言葉もまた存在する、歴史家の言葉か。
「グレイ型宇宙人は人間が退化した姿」とかいう都市伝説もある。
未来に希望の灯火を献上する使いは、いつだって、今の私たちだ。
韋駄天どこまでも:
「献灯使」の段階ですでにひしひしと感じてはいたけれども、
多和田さんという方は発想や感性が瑞々しいなと感心する。
文章に繊細な注意を払うのは小説家なら当然のことだろう。
それを漢字1文字の構成や読みにまで目を向けるんだからな。
地震が起きて、避難して、その状況にときめいて、それが終わる。
このテンポの良さには〈吊り橋理論〉という言葉を思いだしてしまう。
テンちゃんが姉を見て泣きだしふりかえりもせず車に乗っていく場面。
熱のあるキスシーンのあとにこの体温を感じない描写がすべて←
不死の島:
本来注目すべき点ではないのかもしれないけれど、
個人的に気になったのであえて最後に出てくるゲームについて。
おもしろいのが、ここで出てくる「夢幻能」というゲーム、この名前。
ならびかえてみると「幻(げん)夢(む)能(のう)」=ゲーム脳。
インターネットも消滅したなかこの現代娯楽だけは生きている。
〈オタク文化〉らしいともいえるし若者たちへの揶揄にも聞こえる。
日本が鎖国したとき若者は案外ゲーム感覚で楽しんじゃうのかな。
彼岸:
中国を批判することで名を売ってきた政治家が、
鎖国した日本を去り移民を受けいれてくれる中国へわたる話。
彼は散々批判してきた中国の目を気にしながらこれからを生きる。
「彼岸」とは仏教用語で「向こう岸=極楽浄土」を指す言葉だそう。
ブログもTwitterもそう、誰もが簡単に「批判者」になりうるこの時代。
同じ状況に陥ったときどれくらいの人が彼岸にたどりつけるだろう。
動物たちのバベル:
去年「TOKYO JUNGLE」というゲームをやった。
人間が絶滅した世界(渋谷)で動物たちが生き残るというゲーム。
そこにかつて人間に飼われていた犬が野生を取り戻す話があった。
犬や猫など人間に懐柔されてきた動物にとって厳しいサバイバル。
人間が置いていった文明の遺産を前に彼ら動物は何を想うだろう。
ここでのイヌのように人間を擁護してくれるだろうか…どうかなぁ。
人間が絶滅したら、地球は、人類誕生以前の姿に“戻る”のかね。
それともそれは人類誕生以前の姿に似たまったく別の姿(進化)?
『献灯使』表紙にはハシビロコウの絵が載っています。
ハシビロコウは動物園で見たことがありますが不思議な鳥。
まるでじっとなにかを、深く、深く熟考しているような姿。
本を閉じたあと「考えろ」と言われた気がしたのはイメージのせいかな。
献灯使、良い言葉ですね。
好奇心に灯りをともし読者が「考える」ことに貢献してくれる使い(本)。