doctor photo

 

 

 

今年引いたおみくじは大吉でした。

 

「体調に気をつけてさえいれば何も文句なし」

 

現在、この非大吉要素が異様に当たっています。

 

頭痛・腹痛には週2~3日に1回の頻度で襲われます。
イブと正露丸が私の友達といっても過言じゃないです。

 

1月は胃腸風邪(疑惑)で数日ベッドと友達。
2月は胃が炎症を起こして(確定)以下同文。

 

私のおなかが何者かに狙われている…!

 

ここ数年は体調不良が多いので気をつけねば。
これからは花粉の季節ですか、むぅ、注意しましょうね。

 

そんなわけで今日は医療ミステリーのおはなしです。
知念実希人さんの『天久鷹央の推理カルテ』読了です。

 

 

 

作品タイトルからラノベ臭がすごくして
正直そんなに期待しないで購入したのですが、
帰りの電車(1時間)でほぼ読み終えるという。

 

タイトル・表紙に反してしっかり医療ミステリーでした。
好みは分かれそうですが個人的には読みやすかった。

 

各科で「診断困難」と判断された患者を対象とした、
〈統括診断部〉という特別部門の連作短編集ですね。

 

それでは各話の感想を短文ですがまとめてみましょう。

 

 

 

 

泡:

 

肝試しで“カッパ”を見たという少年のおはなし。
文章しっかり読めばおおよその見当はつきました。

あっさりめなおはなしですが導入だし良いでしょう

 

常識? なんだそれは。
いるかいないか分からないから、
わざわざここに来て調べてるんだろ。

 

名前はともかく(笑)鷹央の言葉選びは好きです。
こういうところが彼女の〈天才〉たる所以でしょうね。
こうでなきゃ診断困難な病気なんて見抜けないよ。

 

 

 

人魂の原料:

 

○○○○○○○○って本当におそろしいですね。
ネタバレになりそうなので伏せますがこれに尽きる。
人魂って炎だし危険だしそれで二次被害出てるし。

 

自分で見たもの以外はなにも信じない。
逆に言えば、
『人魂』のような非現実的なことが“無い”とも信じない。

 

鷹央のその姿勢は良いことでもあるし悪いことでもある。
事実、次のおはなしからの鷹央は〈完璧〉ではないです。

 

 

 

不可視の胎児:

タイトルでピンとくる方もいるかもしれませんが、
後半の予想外の展開に読んでいて焦りました。

 

鷹央ですら“自分で見たもの”を信じすぎた結果、
すぐそばに隠れていた真実の発見が遅れました。
「完璧」ではない天才・鷹央はここから人間味を増します。

 

お前は赤ん坊に母親を殺させるのか。

 

以降、名台詞のオンパレード、絶対に読んでほしい
作者、現役の医師なんですものね…心からの訴えでしょう。

 

 

 

オーダーメイドの毒薬:

母子の絆の尊さを想ったあとにこれですよ。
な ん て 胸 ク ソ の 悪 さ 。

 

一度読むとこの母親のほうに目がいくけれど、
二度目はたぶん子供を想って、ダメだ、これは。

 

 

 

さっくり読めた印象だったけれど、
感想書いてみるといろいろ出ましたね。

 

タイトルと主要人物の名前で損してる気がします。
とっつきやすい医療ミステリーなのでもったいない。

 

Ranking
Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。