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連休中、
『歌舞り者。』というフリーゲームの実況動画を見ました。

 

謎のゲーム〈仮面舞盗会〉。
賞金を賭けた複雑な推理&心理戦。
主人公は人を“信じる”ことでこのゲームに臨む!
(※こちらもまた大変おもしろいゲームでしたよ!)

 

ゲーム中とあるキャラクターがこんなことを話しています。

 

人は幾つもの顔を持っているもので、
性格や人格なんてものは定められないんだな、って思い、
自身もそのように振る舞い生きてきた。

 

目に見えないものを言葉で形成するとき、
それは当人の主観や語彙やさまざまなものが影響する。
なかなか奥深い言葉だなぁ、と、印象に残ったものです。

 

類は友を呼ぶといいますが、
横関大先生『再会』を読了したときこのゲームを知るとは。

 

 

 

タイムカプセルに埋めた拳銃。
封印したはずのそれを掘りおこしたやつがいる。
そんなことができるのは当事者の4人だけのはずだ。
23年前のあの“悲しい記憶”を共有するこの4人だけ――。

 

疑惑が二転三転するテンポの良いミステリーサスペンス。
さすが乱歩賞受賞作、安心して、非常に楽しく読めました。
こういうのワクワクするから好きです…疑心暗鬼系イイネ。

 

「8年連続で江戸川乱歩賞に応募」していただけに、
文章そのものは厚みのわりにサクサクと2日で読めました。
中盤からはスピード感も増すのでやめどきがわからないほど!

 

誰が拳銃を掘りおこしたのか。
4人が胸に秘める“悲しい記憶”の真相とは。

 

息子の万引きで追いつめられた万季子。
万季子の元夫で4人のリーダー的存在・圭介。
4人が再会するきっかけとなる事件の被害者家族・直人。
現在は警察官となり事件の捜査にあたることになった淳一。

 

章ごとに視点が異なるため、
知っていること・知らないこと・隠していること・疑っていること
当然人物によってそれらの情報も差違があったりするわけで。
誰を疑えばいいのか、もう、存分に作者に弄ばれましたよ(笑)

 

 

 

まぁそうですね、少しだけ不満点を挙げるとすれば。

 

過去についての真相。
なぜかそこに執着する謎のキレモノ刑事・南良。

 

この2点においては、
都合が良すぎるというか強引に見えなくもないのですが。
疑心暗鬼な張りつめた空気とスッキリした構成に満足です。

 

視点が変わるたびに、
彼らにはそれぞれの嘘・秘密・傷があって。
誰もが悩み苦しみながらもそれを隠していて。
たがいに「あいつにかぎって」とそこから目をそらして。

 

定められない。
なるほど、それはたしかに、そうかもしれない。

 

子供の頃に戻ったような気がした。
この三人がいてくれたら大丈夫だ。
そんな安堵を覚えた。

 

けれど誰もが愚直に“信じる”ということができる。

 

「そうか……俺たちは何も変わってなかったんだな」

 

変わることのない誰かとの絆を。

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。