高校生のとき、
友人と漫画を作ったことがあります。
彼女は絵を描くのが好きだったので、
当時文芸部で小説を書いていた私が
漫画のシナリオを頼まれたのですが、
シナリオをわたしたあと後日友人が
描いてくれた漫画を見て思ったのは、
「あ、ここそう描いたんだ」でした。
一応シナリオを描くときに
自分なりにコマ割りのイメージがあったので
友人の漫画を見たときに、なんといいますか、
不思議な気持ちになったのを覚えていますね。
彼女は漫画を完成させないまま退学したので、
結局あのシナリオも今は手元にもありません。
漫画のシナリオは今でもたまに思いつきます。
次またシナリオ提供するときは、
漫画を完成させられる人に提供したいですね。
と、いうわけで、今回は“合作”のおはなし。
折原一氏と新津きよみ氏『二重生活』読了です。
なんとお二人は夫婦。
これ、作家夫婦による合作なのですよ!
素敵ですよね、本好きとしては、ときめきを感じます。
***
看護学校の苦学生として
看護婦を目指す「わたし」は、
自分を支援してくれる“足長おじさん”に想いを抱き始める。
しかし、男の語っていたすべてが嘘で、
妻との「二重生活」だったとわかり、
男と周りの人間への復讐を誓う――。
折原一、新津きよみの作家夫婦が
初めて共作した記念すべき作品。
折原のホラー、新津のサスペンスと
二つの要素が凝縮された傑作が待望の復刻。
※あらすじは文庫裏より引用しました。
***
読了したとき、
映画を観終わったあとの開放感といいますか、
現実世界へ戻ってきた安堵感を味わいました。
終わった。
終わってしまった。
思わず、ふぅ、とためいきがこぼれましたね。
読書ペースは遅いほうだと自負していますが、
今回たった2日間で読了して自分でびっくり。
もちろん内容が軽かったわけではなくて、
むしろかなり濃厚だったはずなのですが、
ひとたび本を開くとスラスラ読めました。
23時に読みはじめて気づくと1時、とか。
文章の質感だけでも2人の腕を感じます。
夫は浮気している。
妻が抱いた疑惑をきっかけに、
妻・探偵・“わたし”が暴く
男の秘密の〔二重生活〕の真相――。
サスペンスミステリーでありながら、
まるでアリ地獄のようにじわじわと
ゆるやかに沈んでいくような展開で、
作者に散々もてあそばれたい!
という読書マゾに熱く勧めたいです←
最後はきちんと話がまとまるので
イヤミスとまではいかないですが、
出てくる人がことごとくクズなので(笑)
人間の醜さが好きな方にも良いですよ!
第一探偵社の叔父さんとあゆみが唯一の癒し。
この2人の会話が微笑ましくて良かったです。
高速道路でSA見つけたような安心感でした。
あゆみかわいいよあゆみ。
個人の意見ですがイメージは女優の北乃きいさんでした。
本来この作品、
人に勧める(語る)にはどうしてもネタバレ部分に
触れなければ良さが伝わらない作品だと思います。
だからここではあまり多くを語れないのですが…。
気になる方にはぜひ読んでいただきたいのです。
数年前に新津氏の文庫本を
書店の平積みで見かけたことがあるのですが、
そのときに「おもしろそう!」とは思ったものの、
結局買わないまま帰ってきてしまったのです。
合作ではあるものの、
新津氏の作品に触れた今なぜあれを買わなかったのかと!
作品名も内容もわからないから調べられないという後悔が!
こんなことがないように、
みなさん本は気になったときに読みましょうね。