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2016年2月14日。

 

現代日本では女性が意中の男性に
チョコレートを贈る日とされているこの日、
これまでの平均気温からは信じられないような
20℃前後のあたたかさの中春一番が吹き荒れました。

 

天気予報によると気温は5月のGW並み。
しかも、13日(19℃)14日(20℃)と週末を過ぎると
15日には10℃とあっというまに寒さが戻りました。

 

久々にパーカーの袖をまくりながら、
なんだかうっかり春が来てしまって
それからあわてて帰ったみたいだな、
なんてふうに思っていたのですけど。
バレンタインデーに春一番というのは、
恋する女性たちの熱気を感じるようで
なかなか雰囲気のあるものでしたよね。

 

そんなわけで今回は恋のおはなし。
瀬那和章氏『花魁さんと書道ガール』読了です。

 

 

 

読んで字の如くミステリーに定評のある
創元推理文庫には珍しい?純正ラブコメ。
もちろん創元らしく伏線が張られていたりはしますが、
こう恋愛をメインに据えた小説というのは久しぶりで、
合うものがなくて普段なかなか読まない分野ですが
個人的には“おいしょガール”は大当たり!でしたね。

 

文章は軽めで若干ラノベっぽくはあるものの、
テンポと勢いがあるので読みやすかったです。
語り手である“私”こと多摩子のキレのある
爽快なツッコミのたまものでしょう、多摩子だけに←

 

その他、
恋は百戦錬磨のドSな花魁幽霊春風さんや
正直すぎて逆に言葉の暴力な親友の林檎や
彼女の双子の兄でやさぐれた優等生のガク、
個性的な面々が多摩子をいじってくれるので
会話がそれはもう本当におもしろかったです。

 

 

 

※以下段落、ネタバレ要素を含んでいるため
【 】内は白字表記とさせていただきました。
 任意で該当箇所を反転させてお読みください。

 

 

 

ここは個人的なおはなしになりますが、
私は最初から【ガク推し】だったため
遊宇君よりガクにしなよ多摩子】と
終始思っていたのですがまさか最後
本当にガクたまのフラグが来るとは
さすが作者氏わかってるぅぅぅ!
P304~P305】 あたり!それはもう!
大変楽しませていただきました(^p^)

 

気をとりなおして(笑)各話感想を。

 

 

 

第一話 春風さん、現る:

 

物語の導入というか、
多摩子と春風さんの出会いのおはなし。
おばあちゃんと春風さんが格好良いんですよね。

 

「あなたは、飾る方法を知らないだけですよ。
どんな花も、ちゃんと飾ってあげないと
人目を惹かないんですよ」

 

名言だと思います。
座右の銘にしたいぐらい響きました。

 

「喧嘩を買うにはね、
舐められない格好をしといた方がいい。
よく吠える女ほど、
見かけで優劣をつけたがるからねぇ」

 

春風さんのこの言葉ももちろん格好良かったけど、
おばあちゃんはまた違った格好良さといいますか。

 

友達少ないとかネタにしてるけど、
多摩子はまわりにとっても恵まれていると思う。

 

 

 

第二話 嘘と実の境界線:

 

第一話で開催された“スーパー女子会”で
多摩子と私にトラウマを植えつけた(笑)
チャオさんと彩奈ちゃんの恋のおはなし。

 

作者の意図とはおそらく全然違うのですが、
心理学?の本で見た一幕を思いだしました。

 

たとえばコップに水が半分入っていたとして、

 

・たった半分しか入っていない…。
・半分も入っている!

 

どちらのように感じるかは人によって違う。
自分の主観が客観と同じであるとは限らないんですよね。

 

ネタバレを避けて表現すると非常に難しいのですが、
とりあえず二度目のトラウマが植えつけられました。

 

 

 

第三話 アトリエはもういらない:

 

ぽっちゃり系女子・向井さんのおはなし。

 

「いいかい。恋っていうのは、
ただ想いを伝えればいいってものじゃぁないんだ。
恋には、時として、物語が必要なんだよ」

 

これは、ああ、なるほど、と思いました。

 

小学生~中学生のときに好きだった人がいるのですが、
相当思い入れがあるのか未だに夢に出てきたりします。
なつかしいなと彼のことを思いだそうとするときって、

 

席替え、3回連続でとなりになったことあったなとか。
たまたま同じタイミングで同じ塾に通ったよなぁとか。
相手に彼女ができたあと3年間同じクラスだったとか。

 

こういうたくさんの“偶然”を思いだすんですよね。

 

この“偶然”が積み重なって物語になって、
思い入れのある印象的な恋になるのでしょうね。

 

 

 

 

第四話 恋という名の入れ物:

 

想い人・遊宇と、そして、多摩子のおはなし。

 

遊宇君の想いの末路。
椎菜ちゃんの複雑な心境。
見えなくなった春風さん。
おばあちゃんと春風さんの関係。

 

全体的に切なくてあったかいおはなしです。
そういうおはなし、なのですけれど…はい。

 

何回も言うんですけど(※【 】部分)、
最後のほうに全部持っていかれてしまって。
私はちょっと冷静に感想書けそうにないので。

 

花魁さんと書道ガール、
最強の恋愛アドバイザーの結末はぜひご自身で。
記事投稿日は編集してありますが、
当記事は3月2日に書いております。
もうじきホワイトデーがありますね。

 

 

 

異例のポカポカ陽気となったバレンタインデー。

 

ホワイトデーも恋する男女の熱量で
ポカポカ陽気になるのでしょうかね。

 

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。