前にも書いたことがありますが、
私は幼少期はまったく読書をしない子供でした。
読書が好きになったきっかけは中学校の朝読書だったんです。
朝読書の制度がはじまるにあたって、
最初に選んだ小説は恩田陸氏の『ドミノ』でした。
何年も前のことなのでさすがに内容はうろ覚えですが、
複数の主人公のおはなしが最後にはひとつにつながり、
読書嫌いの最初の本にしてはとても楽しく読めました。
思えばあれから、
「私、読めるじゃん」と苦手意識がなくなったのですね。
あれっきりまったく読んでいませんがまた再読しようかな。
というわけで今回はドミノつながり。
貫井徳郎氏『ドミノ倒し』読了です。
そのドミノ、倒すべからず。
月影市で探偵業を営む十村のもとに殺人事件の調査依頼が舞い込む。
依頼人は元恋人の妹、
しかも久しぶりの依頼にはりきる十村は、
旧友の警察署長も巻き込み早速調査に着手する。
しかし、
過去に起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、
さらに別の事件の存在も浮かび上がる。
ドミノ倒しのように
真実を追えば追うほど連鎖する事件の真相に探偵が迫るとき、
恐るべき結末が待ち受ける。
人間の歪みと捩れを浮き彫りにする、衝撃の長編ミステリ。
※あらすじは東京創元社HP「内容紹介」より引用しました。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488425067
Twitterで刊行案内を見かけたので購入。
私こういうあらすじに弱いんですよねぇ。
文体は主人公である探偵・十村の一人称で、
軽妙なテンポとユーモアで楽しくサクサク読めました。
キャラクターも◎。
十村のハードボイルド気取りや署長の有能ショタキャラ、
住民たちのおとぼけ感と充実していて飽きなかったです。
特に署長とコー君のキャラは良かったです、萌えました←
構成は、
主に3つの事件の捜査が並行して行われるので、
情報が頭の中でちょっとこんがらがってしまいました。
死者は情報だけで人柄が描かれるのでどうしても印象が薄く、
名前が出てくるたびに「誰だっけ?」となっていたような気が。
全体的に見るとおもしろかった部類ですが、
オチというか真相の薄さ?弱さ?がどうしても引っかかります。
他がエンタメ性で文句ナシなだけに本当にもったいないなぁと。
ミステリー小説?コメディ小説?
正直ラストの展開は予想どおりでした。
物語中盤で察してしまったので読後感はイマイチ。
私だけでなく予想できてしまう人は多いと思います。
「長編ミステリ」を謳っていますが、
人に勧める際は私ならたぶんコメディって言いますね。
十村のキャラクターのせいで(責めてはいません)
どうしても内容紹介でいうところの「恐るべきラスト」に
むしろ笑ってしまうのは単に私が非情なだけでしょうか?
主人公(キャラクター)と舞台を逆手にとったからこそ
あの結末が衝撃的かつ尾を引かずさっぱり終わったともいえますが…。
みなさんはどう感じるでしょう?
読んだ方はぜひ感想教えてください。
長旅のお供にいかが?
文章もおもしろいし、
キャラクターも多めだけど個性があって見分けやすい。
さながら2時間のスペシャルドラマを見ているような、
そんなワイワイ楽しいエンターテインメント小説でした。
私も実質3日程度で読んだので、季節柄、
旅行などレジャーのお供として軽く読むのにいいかも。
のどかな田舎町方面へお出かけの方には特に強く勧めます。
行きでサラッと読み終えましたら、
ぜひ帰りにもう一度、今度は、神の視点でじっくり。
同じおはなしを違った風味で楽しめると思いますよ。