『侠飯』(福澤徹三 著)
2016年11月12日
福澤徹三氏『侠飯』を読了。
前回の高橋由太氏『猫は仕事人』と同時購入したのですが、
普段は読まないジャンルに手を伸ばす回だったようですね。
時代小説に続いて任侠×グルメのW未知の領域に挑戦です。
グルメ×任侠!! 書き下ろし小説!
就職活動中の大学生が暮らす
6畳のワンルームに転がり込んできたヤクザは、
妙に「食」にウルサイ男だった!
異色グルメ小説。
※あらすじは文春文庫HPから引用しました。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167902483
今年、
遅ればせながらゲーム「龍が如く」シリーズを
一気に5作まとめてプレイしたのでゴリゴリの
ハードボイルドに耐性できてる!OK!さぁ来い!( ゚Д゚)∂゛
と意気込んでいたのですが意外とハードボイルド感はなくて。
個人の感想ですがどちらかというと、
グルメの要素のほうが濃かったように思います。
誰かが亡くなったりもしないので万人に勧められますね。
登場する料理も、
酒の肴にチャーハン、ステーキ、カレー etc.
まさに男、いや、侠(おとこ)の料理といったラインナップ!
個人的にはレトルトカレーの章が印象的でした。
使われていたレトルトカレーも私が好きなやつなので。
今度実際に作ってみようかと現在こっそり計画中です。
福澤氏の作品は、
過去に『東京難民』を読んだことがあるのですが
もうとにかく男子大学生が等身大というかリアル。
当時自分が大学生だったもので心底感心しました。
著者紹介を見ると1962年生まれ…ええ…ウソだろ…?
もちろん今作にもこれはしっかり感じられて、
今作では就活に悩む主人公・良太がとても“大学生”でした。
「おまえはゆうべ、
自分にむいた仕事を見つけたいっていってたな」
「――はい」
「仕事ってのは、
飯食うためにやるもんだろうが」
「まぁ、
そういう部分もありますけど――」
「なら、自分が仕事にむくようになるのが筋なんじゃないか」
良太はすこし考えこんでから、
「こっちが仕事にあわせろってことですか」
と訊いたが、
柳刃は答えなかった。
良太が就職に対して思っていることもわかりますが、
柳刃さんの言っていることは今ならわかる気がします。
読後の印象としては、
やはり一人暮らしの大学生向けですね。
文章もサクッとしているので数日で読めるはず。
ただメインとなる料理パートの描写には力が入っているので、
ある程度イメージができないとつまらなくなるかもしれない。
就活がテーマの作品といえば、
最近では朝井リョウ氏の『何者』の映画化が決定し話題ですが、
料理からアプローチするこんな“就活小説”もどうでしょうか。