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このあいだ、
とっても美味しい納豆の食べかたを発見しました。
チキンラーメン+ごま+ごま油、これが美味しい!

 

用意するもの:

 

・納豆
・ごはん
・チキンラーメン(1/2袋)
・ごま
・ごま油
・長ネギ(お好みで)

 

分量は好みで適当に調節してください。

 

①チキンラーメンを袋の中で砕く。
②ボウルにごはんと砕いたチキンラーメン、ごまを入れる。
③ごま油をまわし入れたあとしゃもじで混ぜる。
④混ざったら茶碗or丼によそう。
⑤納豆をつくってごはんのうえにかける。

 

完成です。
④で終えてそのままごはんで食べても美味しいです。
味が濃いので納豆のタレとからしは半分でもいいかな。
興味がありましたらぜひチャレンジしてみてください。

 

小学生の頃からこんなことばっかりしていました。
夏休みの創意工夫展の宿題(工作)はさっぱりだったくせに。
料理も提出していいルールだったら毎年楽しかったのにな。

 

一方、今回も工作(?)のほうで冴える
稀代の発明家にして名探偵・百栗柿三郎のおはなしです。
伽古屋圭市さんの『からくり探偵・百栗柿三郎 櫻の中の記憶』読了です。

 

 

 

よろず発明(探偵)、ふたたび。


 

 

風采は上がらないが頭脳は明晰、発明家兼探偵の百栗柿三郎。

 

大正時代の浅草を舞台に、
女中の千代、居候の小学生・玉緒、
迷い犬のハチとともに難〈怪〉事件に挑む!

 

先進の科学知識を駆使して、

 

“雪に閉ざされた密室の殺人”
“屋根裏の住人の告白”
“読めない脅迫状”
“消えた工女”

 

の謎は解けるのか!?

 

本格ファン感嘆のミステリーシリーズ第2弾!

 

※あらすじは文庫裏表紙より引用しました。

 

***

 

前回読んだ『からくり探偵・百栗柿三郎』の続編です。
ブログを遡ってみますと前作の初読が2015年だそうなので
およそ2年ぶりということでまずは前作の再読から手をつけました。
前作の感想記事はこちら(初読)とこちら(再読)から合わせてどうぞ。

 

続編が刊行されていたことは
先月だか先々月だかの段階で知っていたものの、
あちこち探しまわってもなかなか見つけられず
某密林で注文かなぁと考えていた矢先にようやく発見。
棚差しから見つけたときには思わず歓喜の声が漏れました。
あんなに喜んだのは『聴き屋の芸術学部祭』(市井豊著)の文庫以来だったと思います。

 

今作も女中の千代によるコミカルな語り口と
柿三郎の柔らかな頭と物腰が読みやすさをつくるものの、
相変わらず事件とその真相にはどれもやりきれなさを覚えます。
個人的には第2話と第3話が好きですがそのようなギャップを
強く感じられるという点では後者のほうが印象に残っています。

 

余談ですが、今作は各話に扉絵がつきました!
柿三郎のキャラデザが好みなのでこれはうれしかったです。
準レギュラー化しつつある森蔵さんの顔グラも気になるところですが、
次巻あたりワンチャンありますか?期待して待っていてもいいですか?

 

以下、各話の感想をまとめました。

 

 

 

乱歩?ドイル?往年のミステリーを大正風に


 

 

第1話 殺意に満ちた館:

 

悪逆非道の金貸し・折江久孝が寝室で死んだ。
現場の状況を見るに自殺としか考えられないが、
他殺が疑われるような証拠もまた存在する、奇妙な死だ。

 

当時、屋敷では会社の10周年を記念した祝賀会が行われていたという。

 

自殺にしては不自然な現場の状況。
誰に殺されてもおかしくなかった氏。
はたしてこの事件、自殺か、他殺か。

 

***

 

「(略)今回の事件の肝は、
人間関係や動機ではなく、犯行可能性の有無だけでしたから」

(P80/L14~15より引用)

 

私は犯人や動機を楽しみにして
ミステリーを読むタイプなので柿三郎が最後に放ったこの言葉が印象的でした。
本格ミステリーの定義が曖昧な人にはその定義がわかりやすい物語ではないかと。

 

防犯システムとは、
実際になにか起きたとき迅速に対応するのはもちろんのこと、
なにかが起きるのを未然に防ぐことを前提に作られています。

 

今回の事件はまさしくそんな、
警固機巧(セクアリテイシステム)のような精巧な作りのミステリーでしたね。

 

解説で千街晶之氏も仰っていますが
読んでいればおのずと「たぶんこういう方向に進むだろう」と
比較的容易に真相を推理しやすいおはなしにはなっていますが、
物語全体をきっちり見通すことはあなたにはできるでしょうか。
私は犯人は目星がつきましたがまさかあのような推理展開だとは思いませんでした。

 

「いえ、十分すぎるくらいです。
それにしても抜群に旨い。特にこの鮭は素晴らしいですね。
おむすびと鮭を最初に組み合わせた人には、勲一等旭日大綬章を授けたいくらいだ」

(P45/L5~7より引用)

 

余談ですが、相変わらずの飯テロで困りました。

 

 

 

第2話 屋根裏の観測者:

 

今をときめく有名作家・伊豆見芳子から百栗庵へ依頼が!

 

担当編集者・遠藤によれば、
10日前に自宅で亡くなった
彼女の同居人で友人の吉原しづ子を殺めた犯人を、
かの〈からくり探偵〉柿三郎に捜しだしてほしいという。

 

遺体発見当時、
芳子宅の郵便受函には「屋根裏の観測者」なる不気味な男から
しづ子殺害の経緯が綴られた告白文が投函されていたというが……。

 

***

 

タイトルから考えて
こちらは江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」のオマージュですよね。
他に二銭銅貨とか人間椅子といった小ネタも入っていましたから、
江戸川乱歩作品の、と言ってしまったほうがいいのでしょうか?

 

芳子は小説の中で
「物語の真実を追い求めることほど不毛なことはない」と述べています。

 

これも1話と同様、
トリックに重点が置かれる本格ミステリーを
概念的にあらわしているようにも見えますね。

 

個人的な意見を言わせてもらうと、
作者が望んでいようがが望んでいなかろうが
文脈からあることないこと想像するのが読者側の特権だしそれが楽しいのですよ。

 

創作を齧った頃にどこかの指南サイトかなにかで
作者の意図が100%伝わるとは限らない、って書かれているのを見ました。

 

匙加減はたしかに作家側の権限だけど、
物語がどんな形や意味をもつかは厳密には十人十色ですよね。

 

そういえば、
事件全体を創作のメタファーとして考えてみると
「屋根裏の観測者」は神の視点――読者と考えることもできそうです。

 

これは考えを練れば1本考察記事が書けそう。

 

 

 

第3話 さる誘拐の話:

 

百栗庵に
かつて千代が女中をしていた真壁邸の元番頭・森蔵が訪ねてきた。

 

千代は近況がてら、
最近百栗庵で解決したある“誘拐事件”について話して聞かせる。
なんでもこの事件、謎を解いたのは柿三郎ではなく千代だと言う。

 

目撃者もいない中で忽然と消えた丈太郎君。
翌朝に表の門で見つかった暗号付きの脅迫状。
調べれば調べるほど浮かびあがる不可解な点。

 

柿三郎たちが見守る中、
一体千代はどのような推理を展開してみせたのか。

 

***

 

ネタバレは避けたかったのですが
どうしても触れておきたかったのでネタバレで書きました。
以下【***】内の白字表記は任意で反転してお読みください。

 

***

 

正直、タイトルを見た瞬間にある程度のことは予想できました。
しかしここでもう1ネタ真相をさらに上乗せしてくるところがさすが。

 

全体的に謎解きゲームのような雰囲気なので、
千代と一緒に推理しながら読むのが楽しいと思います。

 

基本的にいつもどの事件もやりきれなさがあるのですが、
この事件は「誰も悪くない」とまでは言いませんけれど
誰も責められないという点で毛色の違うやりきれなさを感じる事件でした。

 

もちろん好意からとはいえ
不用心に食事を与えたカヨも批難されて然るべきですが
彼女に予断を許した阿紀彦にも非はあったのではないでしょうか。

 

土橋にしても
死んでいたとはいえ偽装のために皮を剥ぐなんて、
もっとやりようはなかったのかと複雑な気持ちです。
どんな想いで丈太郎君の…あんなことしたんでしょう。

 

真相がわかったとき、
山浦サクさんの『ケモノみち』という漫画の
ふれあい広場の話(2巻9話)を思いだしました。

 

動物たちの飼育は
彼らの命を預かることであり「知らなかった」では済まされない。
主人1人が知識を身につけていればいいという簡単な話ではなく、
飼育環境に関わるすべての人が理解と知識をもたなくてはいけないなと、
犬猫を飼っている身としては改めて強くそう思わせてくれるおはなしでした。

 

***

 

 

 

第4話 櫻の中の記憶:

 

「あん!」
今日も百栗庵の飼い犬・ハチが
散歩の帰りになにか拾って帰ってきたようだ。
貝殻をあしらった簪、それは千代の友人・ふみのものだった。

 

翌日散歩へ出かけたハチを追いかけていくと、
工場近くの雑木林の中で白骨死体がひとり淋しくねむっていて――。

 

魔犬の噂があるというこの地で
彼女は製糸工場の女工として働いていたのだろうか。
友人の死の真相を探るため千代はかつてのように
ふたたび柿三郎に捜査の依頼をする。

 

***

 

玉緒は年齢がネックで
探偵稼業にどれだけ関われるかが気がかりだったのですが
意外にもちゃんと馴染めているし活躍の場があってよかった。
百栗庵のメンツ総動員で製糸場へ調査に赴くシーンはワクワクしました。

 

サブタイトルにもあるとおり、
作中にはある場面で桜が登場します。
種類までは明記されていませんでしたが、
ふと気になって桜の花言葉を調べてみたら種類によって異なるそうですね。

 

ソメイヨシノ:純潔/優れた美人
シダレザクラ:優美/ごまかし
サトザクラ・ヤエザクラ:豊かな教養/善良な教育
ヤマザクラ:あなたに微笑む/純潔 など

 

※花言葉の専門サイト「花言葉-由来」内にある「サクラの花言葉」より引用しました。
http://hananokotoba.com/sakura/

 

シダレザクラなら「ごまかし」を暴いたふみらしいですし、
ヤマザクラなら「あなたに微笑む」という花言葉なんかは
終章のあの一幕が思いだされて切ない気持ちになりますね。

 

桜全般の花言葉には「精神の美」というものがあるそうです。

 

操觚者を目指し確固たる意志で
「日の当たらない場所を照らしたい」と語った彼女にふさわしい花ですね。

 

 

 

泥であり花であることはない


 

 

今作の事件は誰かがなにかよんどころない事情で
泥をかぶる、という点が共通していたように見受けられました。

 

その覚悟や決意は
自らの命を賭してでも真実を白日の下にさらすという
ふみのそれと通じるものがあるような、同時に、正反対のような。

 

以前倫理の本で読んだ「道徳は相対主義」という話を思いだしました。

 

なにが正しくてなにが間違っているかは状況によって変わります。
変わります、が、それは“なんでもアリ”ということにはなりません。

 

覚悟や決断にはなんらかの犠牲が伴い、
ときとしてそれは美談や英雄譚のようにも語られますが、
罪は泥であり花であることはない、ということを彼らの背中からは感じました。

 

 

Ranking
Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。