コーヒーの苦味を飲みこめない -『広告狂想曲24時間』感想
2018年7月19日
松本周『広告狂想曲24時間』を読みました。最近知人が小説を書きはじめまして、元小説家志望の端くれとして私もその推敲、校正、その他アドバイスなどサポートをしているのですが、その小説がビジネス小説を軸にしているので分野研究を兼ねて手にとった1冊。とっつきやすいページ数とストーリーでサクサク読めたし、ビジネス小説としての緩急のつけかたや〈上司〉〈クライアント〉といった定番キャラクターのステレオタイプはおおむね学べた気がする。この読書経験を今後に活かしていこう。
充分にアフリカにしてください
中堅広告代理店の新入社員の松山は、地方都市の大規模マンション広告の企画を命じられる。クライアントから掲示された条件は、超人気モデルを起用し、広告テーマを「アフリカ」にするというもの。プレゼンまでに残された時間は24時間。次々と襲いかかるクライアントからの無理難題、理不尽な上司、果てしないトラブル――。怒涛の1日を乗り越え、松山は無事に企画を通過させられるのか!?
――文庫裏より |
クライアントとの打ち合わせに「俺ちょっと遅れてるから」と気軽に遅刻してくる上司。タレントを使用しないという条件下のプレゼンでタレントを起用した広告デザインを提案するクリエイティブディレクター。そしてあげくのはてに、
「どれぐらいアフリカにしますか?」
(中略)
「充分にアフリカにしてください。六〇〇戸が完売するように」
(P33/L17~P34/L2より引用)
このクライアントである。意味わからなくない?上司オイコラなに遅刻してんだよ。クリエイティブディレクター今までクライアントからなに聞いてたんだよ。クライアント「充分にアフリカ」ってどういうことだよノーヒントかよふざけんな。
タイトルのとおり24時間のうちのおはなしですが、序盤から全方位
クライアントの口から飛びだしたこの一見脈絡のない「アフリカ」
広告代理店が「代理」するもの
広告代理店といえば、昔は自分の中で〈
これが広告代理店ビジネスなのだろう、と僕は思った。
考え得る限り、ありとあらゆる全てを代理する。
(P253/L4~6より引用)
そしてその核とは、ひいてはあらゆる仕事に通じるものであり、ハンバーガーショップでの松山と涼子の会話がフラッシュバックして、心にズ
「食べないの?」
「難しい」と僕は答えた。
「食べなよ。食べなくちゃいけない」
(P246/L1~3より引用)
あきれるほどあたりまえで月並みな言葉だけれど、
印象に残る狂想曲
話は逸れますが、「
他部署の先輩(だけど同い年)であり元カノという美味しいキャラだった涼子をイ
参考:
狂想曲 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%82%E6%83%B3%E6%9B%B2