猫の語源は「寝る子=寝子」という説は有名ですが、猫の名前の定番“タマ”の語源はご存知でしょうか?じつは“タマ”の語源として、
・招き猫のモデルになった猫の名前
・丸をあらわす(あるいは「宝玉」の)「玉」から
・霊的な存在として「魂」「霊」の字をとった
というような説があるとされているそうです。
※参考
猫という名前の語源は「寝子」だけじゃない? 様々な猫の由来│PECO(ペコ)
http://peco-japan.com/13943
由来は諸説ある、というのは夢がありますよね。招き猫のモデル説が一番現実的に思えますけど、うーん、個人的には「魂」「霊」説も神秘的だしおもしろい。以前企画記事を書いた池袋のナンジャタウンには〈もののけたま〉というキャラクターがいますが、この場合の“たま”は「魂 or 霊」説確定でいいですよね?
というわけで、レイチェル・ウェルズ『通い猫アルフィーのはつ恋』(中西和美/訳)読了です。
ストーカーではニャいぞ
飼い主を亡くした悲しみを経て、エドガー・ロードで“通い猫”として暮らすようになったアルフィー。ある日、空き家だった48番地に新しい家族が越してきた。だが何かから隠れるように人目を避ける一家の不審な様子に、近隣住民はざわつきだす。アルフィーはその一家と、彼らが飼う心閉ざした白猫のことが気になり……。悩める者のため1匹の猫が立ちあがる!?全英絶賛ハートフル猫物語、第2弾。
※あらすじはハーパーコリンズHPより引用しました。
http://www.harpercollins.co.jp/alfie2/
前回に引きつづき、通い猫・アルフィーのおはなしです。前作の感想記事を未読の方はぜひこちらからどうぞ。前作とは別に1つのおはなしとしてまとまっているので前作未読の方も読めますが既読のほうが幸せになれます。私なんかもう序盤はニヨニヨ頬がゆるみっぱなしでした。
今回アルフィーは、想い猫・スノーボールのために彼女とその家族を助けようと、スキあらば家に押しかけたり。
想いが先走ってうっかり地雷を踏んだり。人の家の花を摘んできてプレゼントしようとしたり。読んでいるこちらが恥ずかしくなるくらい ほぼストーカー化 奮闘するんですけども。アルフィーの活躍がかなり終盤で、しかもわりとあっさりだったので、前作ほどの感動がなくちょっぴり消化不良でした。
個人的には友だちのタイガーが好きなので、彼女が脇役に留まってしまったのも残念でした。少女漫画ならこれは幼なじみか後輩ポジションですわぁ…。なんならタイガーを主人公に別の小説書いてもいいのよ?
救済は崇高な行為なのか
お願いだからもうほっといて。あれこれ干渉してきてゴタゴタを起こされるのはもうたくさん。ほっといてくれたほうがいいの。
スノーボールは言うけれど、残念ながら、誰かが誰かを「助けたい」と思う気持ちは例外なくみんな一方的な感情だと思います。基本的に見返りなんて期待していないし、本当は、住人たちのように相手のアクションを待つのも違う。
アルフィーは相手に迷惑だと思われようが、周囲から愚かに見られようが、“自分が”助けたいから助ける!という姿勢で終始一貫しています。これこそ、「助ける」という行為の本来の形ではないでしょうか。誰かを助けるという行為は得てして美談のように語られるものですが、たとえば「情けは人のためならず」ということわざがあるように、助けるという行為はもっと自分本位な側面の強いものであって、だからこそもっと身近で汎用的な行いであっていいのだと思うのです。
昔読んだ漫画に、「勝手にしたいと思ってしたことなんだから、素直に受け取っておけばいいんじゃないの?」というようなセリフを吐いたキャラがいました。ふるかわしおり氏の『ファイブ』という漫画だったかな。愛情を特別視せず、普段から身近に感じられることができれば世界はもっと優しさで包まれるのかもしれませんね。
「人」という字は孤独か優しさか
ところで、「人」という漢字についても起源を調べてみたのですが、
人が二人で支え合っているところをかたどったもの、という説が広く知られています。しかし、甲骨文字までさかのぼると、横から見た「人間が一人で手を下に下げて、腰を曲げた姿」をかたどったものだそうで、人は一人のようです。
※以下URLから引用しました。
ヘンな漢字の由来「人という漢字は二人ではなく一人の形から成り立っている」│マイナビウーマン
https://woman.mynavi.jp/article/130909-057/
言われてみれば、屈んで手を地面のほうへやっているようにも見えます。
さてこの「手を下にやって腰を曲げた」人間。一体なにをしているところだったのでしょうか。もしかしたら、
困っている人を見つけて手を差しだしている――という一場面を切りとった形なのかもしれません。だとしたら
「人が支えあっている」という優しい解釈も、あながち間違いではないのかもしれないですよね?
2017年8月3日に加筆修正しました。