今年のGWのことだったと思います。
PS3の『キャサリン』というゲームをやりました。
主人公・ヴィンセントが、
恋人から遠まわしに結婚を迫られ。
酒場で出会った魅力的な女性と一夜を共にしてしまい。
ヴィンセントを惑わす2人の〈キャサリン〉をきっかけに、
彼に人生を賭けた奇妙な悪夢が襲いかかってくる――!
立体パズルゲーム?です。
個人的にはだいぶ難しかった…(泣)
夏にぴったりのエログロホラーですので今夏ぜひ!
ああ、それで、なぜ『キャサリン』のおはなしかというと。
こちらのゲーム〈羊〉が1つのキーワードでして、
ゲーム中にたくさんの羊が出てくるのですが…
羊なのにおかしいこわい( ´;ω;`)
ところで「羊」と聞くと「羊頭狗肉」という言葉が浮かびます。
なんだか私の中で羊にあまり良いイメージがないです(笑)
今回は羊にまつわるおはなし。
美輪和音先生『強欲の羊』読了です。
それは、『よくばりオオカミとやさしいヒツジ』という絵本でした。
欲の皮の突っ張った狼が、お腹が空いて死にそうだと嘘をつき、
友達の羊の家にあった食べ物をすべてたいらげる。
それでも足りずに、皿や鍋、机やドアまで食べ尽くし、
食べる物が何一つなくなると、狼は友達の羊まで食べてしまう。
やっと満足した狼は、羊を誘って散歩に行こうとしますが、羊がいない。
当たり前です、自分が食べてしまったのですから。
一人ぼっちになった狼は羊の優しさが忘れられず、
また羊に優しくしてもらいたくて、自分で自分の腹を裂くという、
ちょっと怖いお話でした。
(「強欲な羊」より)
対照的な性格の美しい姉妹。
疑心に揺れる男と狡猾な女。
婚約者を奪った女と奪われた女。
王子をめぐる4人の侍女と若い女。
欲張りな狼は誰なのでしょう。
優しい羊の皮を被った欲張りな狼は。
5篇収録の連作ミステリーなのですが、
(5篇目についてはのちほど触れます)
全編まるで上質な昼ドラを観ているかのような耽美な雰囲気。
しかしそこにいる人間がどいつもこいつもドロドロしているッ…!
個人的には、
読んでいて終始〈花〉のイメージを持っていたのですよ。
花って、きれいなんですけど、香りがちょっと苦手でして。
ああいう感じ…そう、きれいだけど近づきたくないような。
連作短編集なのであまり長々と書けませんが、
ここで各話について簡単な感想を書いてみましょう。
強欲な羊:
妹はなぜ姉を殺したのか。
純粋なミステリーといった雰囲気。
勘の良い人ならおそらく全容は推理できるでしょう。
けれどもここではそれはあまり重要なことではなく。
むしろわかるからこそ心底おそろしいんですよ…。
背徳の羊:
なぜ自分の息子と友人の息子が似ている?
ミステリーに昼ドラのテイストが混ざった雰囲気。
まともな女性が読んだら女性であることに絶望します。
まともな男性が読んだら結局なんだかんだ絶望します。
読む人によって誰を擁護するか意見が分かれそう…?
眠れぬ夜の羊:
あの女を殺したのは私なのだろうか。
ミステリー+ホラーサスペンス=???
不思議と怖いというのはなかったんですよね。
なんていうか、ただただ、塔子が普憫というか。
怖いと思った方も2度読みしたら印象変わるのでは?
ストックホルムの羊:
魔女は私たちの安寧を奪ったあの小娘?
いやぁ…個人的にはおぞましさピカイチでした。
オチがもう最高に最低でしたね!(褒め言葉)
大変気持ち良く騙されました、好きです、こういうの。
好きですけど、やっぱり、あんなのはひどすぎます←
生け贄の羊:
“羊”たちをめぐる4つの物語はここに。
これはサイコホラー的な雰囲気でした。
個人的にはおまけ的なおはなしだったですかね。
ここまで読むのに間隔を空けながらだったので、
ところどころ理解が追いつかなかったのですが、
感想書くにあたってパラパラ読んで整理したら繋がりました。
こちら読む前に1回ここまでの話を整理すると良いかもですね。
さて、今は深夜1時30分過ぎなのですが。
感想書いてるうちに怖くなってきた( ´;ω;`)
わりと読書史上トップレベルのトラウマ本です(笑)
読後はしばらく寒気と震えが止まりませんでした。
こんな感覚は初めてかもしれない…感服ですね。
だけどただ「怖い!」というのではなく、
サスペンスやホラーなど様々な手法が混ぜてあって、
それぞれ違った「怖い!」が表現してあるんですよね。
こんなおはなし読んでしまったからにはねむれない。
今夜は羊でも数えてねむ…え、今なんて、羊ですって?
今夜数える羊は本当に羊だと良いんですけどねぇ…。