このあいだ、
念願のペルソナ5(PS4ゲーム)を買ったんですよ。
それに合わせて、
なつかしくなったので前作ペルソナ4Gも
2周目をはじめたんですけど、もう、難しくって。
誰を恋人にするかが。
一度は全クリしている手前、
全員愛着あるしなんなら男性キャラもみんないい子なので。
モロキンでさえもはや一周まわってかわいい。ああ、腐ったミカン帳。
このゲームは恋愛が重視されていないようで、
やろうと思えば何股もできるそうなのですが、
愛着があるばかりに無下に傷つけたくなくて。
私はこういうの結構融通利かないですよ、惚れたら一途なんです。
菜々子が攻略範囲内だったら一択なのに。
まぁ、彼女、小学生のいとこですけれど。
というわけで、
今回は(も)恋愛のおはなし。
森晶麿氏『俗・偽恋愛小説家』読了です。
あれもこれも全部ニセモノなのかもしれない
「白雪姫」「ラプンツェル」「かえるの王さま」「くるみ割り人形」
――誰もが知っている、
おとぎ話に隠された、恋物語と事件の≪真相≫を
“偽”恋愛小説家&駆け出し編集者コンビが読み解く、
連作恋愛ミステリ第2弾。
恋愛小説家・夢宮宇多は、
デビュー作『彼女』が話題となり、次回作が待ち望まれていた。
ところが、
担当編集者の月子が催促をするものの、
夢宮は次回作の『月と涙』の原稿の続きを、書いてくる気配がない。
そのうえ、
「夢宮が女性と仲良く歩いていた」という話を、
月子は同僚から聞いてしまう。
現実とリンクする夢宮の次回作のラストで、
主人公の青年は「月」と「涙」どちらを恋の相手に選ぶのか……?
続きが気になりながらも、
月子はヤケを起こし、お見合いを引き受ける。
その相手は子供の頃に憧れていた人だった。
※あらすじは朝日新聞出版社HPより引用しました(一部編集)。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18276
前回紹介した『偽恋愛小説家』の続編です。
最近刊行されたのを早めに確保していました。
今回装丁がすごい豪華なんですよ、カバー外しても楽しめます。
文体は、
今回ちょっと脱字や誤植が多かったような。
後述しますが第2話が文章ガタガタに見えました。
読みやすさのクオリティ面は問題なかったですが。
キャラクターは、
今回恋敵役(?)に新キャラ・聡さんが登場。
絶妙にうさんくさくてとてもいい感じに恋敵でした!(褒めています)
夢センセと水面下で火花バッチバチなのもおもしろかったです、萌え。
構成は平常運転。
個人的には第2話の夢センセの童話解釈シーン、
他のおはなしとは少し違ったシチュエーションで展開されていて
新鮮だったのでまた続編が出ればぜひまたこういう変化球を!と。
以下、
各話感想をまとめました。
各冒頭のあらすじは帯より引用しています。
必ず最後に愛は勝…たない…?
第一話 白雪姫に捧ぐ果実:
豪華クルーズで衆人環視の中、急死した美人女優。
「白雪姫」のとある人物に悲哀を見いだす夢宮は、
その死に不審を抱く。
王子が柩でねむる白雪姫にキスをしたのは
死体愛好家だったからという説は聞いたことがあったけれど…。
いずれにしてもどの時代の男性も“女は黙っているのが1番”
と思っていたのかもしれない(笑)いやぁ女としては申し訳ない。
私たちはつい、
恋愛を当事者2人だけのものと勘違いしがちだけれど、
その他人生の多くの面がそうであるように恋愛もまた例外なく、
いろんな人間が本人の意思に関係なく関わっている場合がある。
当事者2人から見ればたとえモブだったとしても、
彼らには彼らの想いや人生が当然あるんですよね。
あのとき恋人は自分をどう想っていただろう。
あのとき両親は自分をどう見ていたんだろう。
友人は?兄弟は?恋人のまわりの人たちは?
まるで白雪姫が幽体離脱して、
柩でねむる自分とそのまわりを眺めているみたいに。
過去の恋愛を俯瞰して感傷的に眺めてしまいますね。
第二話 ラプンツェルの涙:
裏切り者の歌姫に愛憎を燃やす演歌歌手の女。
夢宮は彼女を「ラプンツェル」の魔女に重ねる。
ここの章、
聡のことを「聡さん」と書いたり「聡」と書いたり
地の文章がガタガタだったのですが脱字でしょうか?
P64の「だ」にアクセント(「、」)がついているのも不自然ですし…?
雪海ねえさんのイメージが
小林幸子さんになってしまうのは仕様なんだと思います←
ラプンツェルのおはなしは、
ディズニー映画でチラッと見た程度なので詳しくありませんが、
たしかに以前『イントゥ・ザ・ウッズ』を観たときには魔女に
同情しながら観ていたかも、というのは、私にもありましたね。
事件のほうは、
昨今のアイドル業界を彷彿とさせるような内容でした。
ステージ上で横行する口パクや長年日の目を見ないメンバー。
遠くない未来アイドル業界で本当に起こりうるような気さえします。
悪い人ではないと思いますが、
雪海ねえさんの育て方にはイマイチ同意しかねますね。
私は内面や実力が必ずしも年齢や月日に比例しているとは思いません。
第三話 カエルの覚悟と純愛と:
密室で不審な死を遂げた、
カエルを偏愛する恋愛小説家。
「かえるの王さま」が導く小説家の秘密とは。
個人的には今作で1番好きなおはなしでした。
私は『かえるの王さま』、
大学時代にドイツ語の授業で読みました。
いやぁ、まさか壁に投げつけるとは思いませんでしたね。
家臣が鉄の帯を身体に嵌めていた――、
という記述もそのときもちろん読みました。
私も当時は「変な家臣だなぁ」と違和感がありましたので、
夢センセの解釈を読んでこれにはなるほど!と大納得です。
タイトルには「純愛」とありますが、
私はこの事件誰1人として幸せにはなれなかったように思います。
だけどとても清らかで美しいおはなしのように思ってしまうんです。
第四話 くるみ割り人形と旅立つ:
夢宮の大切な人・涙子が誘拐された?
月子は「くるみ割り人形」のネズミのような
卑劣な犯人を追うが――。
ストーリー展開はちょっと都合良すぎるようにも見えました。
「俗」と謳っているわりにどうも納得できないとはこれいかに。
「偽」だからと言われればそれはそれでそれまでなんですけど。
なるほど『俗・偽恋愛小説家』とはなかなか憎いタイトルですね。
私は『くるみ割り人形』のおはなしは知らないのですが、
夢センセの物語の解釈を読んだら俄然興味がわきました。
優しくてなんだか胸がギュッとなるような解釈でしたね。
たった一度しかない人生、
それが短ければ残念で、
長ければ良かったとはいえない。
P242で語られる夢センセの解釈。
高齢化社会といわれる昨今の日本のことをつい考えてしまいました。
「地獄に落ちると
永遠に石積まされて後もう少しで崩されるってマジなの?」
というあるまとめの記事を今朝読んだことも思いだしました。
個を主張する一方で他者を非難する――やりきれない世の中です。
※参考URL:
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/5108105.html
“ニセモノ”かもしれない、でも。
幽霊、宇宙人、神、輪廻、運命etc.
こういうオカルト的・神秘的なものは信じますか?
私は、
理屈はさておきとりあえずはなんでも信じています。
だってあったほうが人生おもしろいじゃないですか。
それに、
そういう不可思議って特別騒ぐことじゃないと思うんです。
つきつめて考えれば、
この世界に〈真実〉なんてきっとどこにもありませんよね?
たとえば「科学的根拠」だって人間の世界における〈真実〉で、
もっと別の規模で見た世界にとって〈真実〉ではないですし。
皆さんはどうですか?
自分たちが本物だと自信をもって言える人はどれくらいいますか?
この世界に真実などないのだとしたら、
私たちだって本物じゃないのかもしれない。
誰もがみんな“ニセモノ”なのかもしれない。
そう考えたら、
前述したものだってありふれた存在のように思いませんか?
ウソか本当かわからない不安定で不可思議な存在だ、って。
たとえすべてニセモノだったとしても、
誰かが価値を見出せばそれはあるいは誰かの〈真実〉になる。
恋愛もまた例外ではないでしょう。