犯罪小説
  • 作家という病 -『盗作小説』感想

    ジーン・ハンフ・コレリッツ『盗作小説』(鈴木恵・訳)を読む。 かつてのベストセラー作家ジェイコブは、どうしても新作を書けずにいた。小説創作講座で教えるだけの日々に鬱々とし、受講生のエヴァンに怒りと嫉妬の炎を燃やしていた。授業を受ける意義がないとうそぶきながらも、彼の語る小説のプロットは素晴らしいものだったからだ。その三年後、ふとしたことからジェイコブはエヴァンが死んだことを知...
  • 貧困はきっと、思考の停止からはじまる -『らんちう』感想

    ネタバレ注意! 本記事は赤松利市『らんちう』の重要な部分または結末について触れていますので、作品を既読である、またはネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。 赤松利市『らんちう』を読んだあとのアウトプットです。「殺されて当然」とすら思ってしまう支配人の強烈な手腕と性格、従業員たちの口からサブリミナル的に聞かされる自己啓発セミナーの異様な光景、その...
  • 嵐が来たら、風下に巣穴をつくりなおせばいいの – 一條次郎『ざんねんなスパイ』を考察する

    !ネタバレ注意! 本記事は一條次郎『ざんねんなスパイ』に関する考察記事です。作品の重要な部分または結末について触れていますので、作品を既読である、またはネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。また、記載される内容はあくまで筆者個人の意見です。 テーマから考えるということはしないので、段々そうなったというか、テーマみたいなものは後からついてきた感じです。 ...
  • 『「電脳マジョガリ」狩り』(向井湘吾 著)

    向井湘吾『「電脳マジョガリ」狩り』を読了。 単行本で400P弱と結構な重量があったので なかなか読み進められないでいましたがようやく記事にできました。 ここしばらくゲーム実況動画を見ていなかったけど、 本作の主人公・翼に触発されて最近また好きな実況者の動画を見ている。 YouTube、ニコニコ動画、SNSとつきあいがある方にはきっと...

    2017年7月10日

  • 『プロメテウス・トラップ』(福田和代 著)

    フリマアプリ「メルカリ」が、 顧客の個人情報が流出した可能性があると発表。 昨夜そんなニュースを見かけて 思わず読んだばかりの小説へ目をむけてしまいました。 福田和代『プロメテウス・トラップ』。 天才ハッカーが主人公のサイバーミステリー。 さすがにメルカリの件は ハッカーの仕業…ではないだろうけど、 こうしたニュー...
  • 『ワスレロモノ 名探偵三途川理 VS 思い出泥棒』(森川智喜 著)

    今年1月に兄の結婚式があったのですが、 式の演出で出席者にはそれぞれキャンドルが配布されました。 キャンドルの色は新郎・新婦が それぞれの人をイメージして選んだ色だそう。 私は濃いめのピンク色でした。 好きな色の話なんかしたことないのに、 わかるものなんだなぁとびっくりしました。 まぁ、私は兄の好きな色、さっぱりわかりませんけど...
  • 『わすれて、わすれて』(清水杜氏彦 著)

    みなさんは、 自分の一番古い記憶ってなんでしょう? 私は幼稚園の運動会で父にふっとばされたことですね。 タイヤ引きみたいな、 園児たちはそれぞれ縄のついた横倒しのタイヤに座って お父さんに縄を引っぱってもらってゴールへむかう競技。 私の父は開始と同時に勢いよく縄を引っぱったのですが、 力を入れすぎてタイヤが傾いて私は後方にすっとびました。 ...
  • 『猫は仕事人』(高橋由太 著)

    猫に鏡を見せてはいけない――。 なんておはなしはご存知でしょうか? なんでも昔、 猫に鏡を見せると化け猫になるといわれていたそうで。 鏡を見ている猫は化け猫だ、 とは聞いたことがあったのですが 調べてみたら上記が正しいみたいですね。 ウチの愛猫は鏡のある私の部屋へ連れていくと、 ときおり鏡に映った自分を凝視している...
Ranking
Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。