家族
  • 星空の下、わたしたちは幸せ -『星の子』感想

    !ネタバレ注意! 本記事は今村夏子『星の子』に関するネタバレを含む可能性があるため、作品を読了している、または作品のネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。以上のことに同意したうえでお楽しみください。 初読は2019年12月なんですけど、私年末に読書合宿してまして、そのとき読んだ5冊のうちの1冊だったんですねこれ。せっかく考察がはかどることに定評のあ...
  • いい時代になりました、が。- 澤村伊智『ファミリーランド』を考察する

    !ネタバレ注意! 本記事は澤村伊智『ファミリーランド』に関する考察記事です。作品の内容や結末について本文を引用しながら書いているので、作品を既読である、またはネタバレを承諾する場合のみ閲覧することを推奨します。また、記載される内容はあくまで筆者個人の意見です。以上のことに同意していただける方のみ続きをお読みください。 澤村伊智『ファミリーランド』を読んだんですけ...

    2019年11月28日

  • 解明は解決にはならない、だけど -『家庭教師は知っている』感想

    青柳碧人『家庭教師は知っている』を読みました。学園ミステリーにとどまらず教師や生徒を主人公に展開する小説は数あれど、本書は家庭教師を主軸にした一風変わった「家庭訪問ミステリー」。家庭とは幸福な絆なのか、それとも、不幸の檻なのか。サクサク読めるのに考えさせられる良書でした。 原田は、首都圏で《家庭教師のシーザー》を運営する会社で働いている...
  • 明日、どこかの食卓で -『明日の食卓』感想

    椰月美智子『明日の食卓』を読みました。「石橋ユウ」を育てる3人の母親。そして「イシバシユウ」虐待死のニュース。ミステリー小説っぽいあらすじに惹かれて購入したのですが実際は“どこにでもある”家族小説または親子の物語です。……まぁ、だからゾッとするんですけどね。 ユウを殺したのは、私ですか? 静岡在住、専業主婦の石橋あすみ。神奈川在住、フリーライターの石...
  • 人と人とはトオリヌケ キンシ -『トオリヌケキンシ』感想

    加納朋子『トオリヌケキンシ』を読みました。先々週くらいに書店へ行ったとき例のごとく知人に適当に数冊小説を見繕ってもらったのですが、そのうちの1冊がこれで、私も書架をまわっているあいだに気になった1冊。見れば作者は『カーテンコール!』の加納氏だし、私と知人どちらの目にも留まるということはこれまで一度もなかったので絶対に良作だろうと確信して買ったら本当に良作でした。 ...
  • 別々に大切にするということ -『通い猫アルフィーと海辺の町』感想

    レイチェル・ウェルズ『通い猫アルフィーと海辺の町』(西村和美・訳)を読みました。前作『通い猫アルフィーとジョージ』以来約1年ぶりとなるアルフィーとの再会。新刊が出ていたことをじつはまったく知らなくて、たまたま書店で見つけたときうれしさのあまり「おおっ!」と小さく声が出てしまいました。8月の暮れ、夏の終わりに読了が間に合ってよかった。溶けるような暑さの中、行間からそよぐ涼しげな海風が心地よか...
  • ああ、これだから本は愛おしい -『書店主フィクリーのものがたり』感想

    ガブリエル・セヴィン『書店主フィクリーのものがたり』(小尾芙佐・訳)を読みました。代官山の蔦屋書店で見つけたんだったかな。帯にある「本を愛するすべての人たちに贈る物語」という文句に偽りなし。遅効性です。とても穏やかな物語なのだけど、本を閉じてしばらく余韻に浸っていると、突然どういう理由であふれてきたのかわからない涙がぽろぽろこぼれてきました。 本を愛するお...
  • 人肌恋しい読書の秋 -『金曜日の本屋さん 秋とポタージュ』感想

    名取佐和子『金曜日の本屋さん 秋とポタージュ』を読了。先々週だったかな、たまたま立ちよった本屋の平積みで見つけて購入しました。季節は秋へ、ということで、8月暮れに読むのはまだちょっと早いかしら…と思っていたらここ最近やたらと肌寒かったのでなんだかんだちょうどいいタイミング。ポタージュ飲みたくなりました。私はトウモロコシの粒々をはじめ具が入っていないもったりしたのが好...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。