ミステリー
  • 今日の天気は「事件解決のち晴れ」 -『蝶が舞ったら、謎のち晴れ -気象予報士・蝶子の推理-』感想

    伊与原新『蝶が舞ったら、謎のち晴れ -気象予報士・蝶子の推理-』を読了。「天気」がカギとなる新感覚の理系ミステリーです。勧めてくれる小説がことごとく私にハマらないことでおなじみの知人が書店で見つけて勧めてくれた1冊なのでまったく期待しないで読んだのですが、おかしいな、悪くなかったぞ…? 一番好きなおはなしは〈序章〉 天気予報が大嫌いな気象予報...

    2018年1月26日

  • 怪物に優しい子守歌を -『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』感想

    知念実希人『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』を読了。甦るってどういうこと?って最初はわくわくしながら読んでいたはずなのに、物語の着地点が存外に寂しいところだったので絶賛放心中です。まさか「わくわくしながら読んでいた」ことをこんなに考えさせられるとは。たまたまサイン本を手に入れることができたのですがシリーズの中でも大切にしたい1冊になったのでよかった。うれしい。 ...

    2017年11月24日

  • トートロジーまたはマトリョーシカ -『黒猫の回帰あるいは千夜航路』感想

    森晶麿『黒猫の回帰あるいは千夜航路』を読了。『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』から書きはじめた歴代の記事を読んでもらえばわかるとおり、黒猫シリーズは毎回内容が高次元すぎて私ごときが感想を述べるのは至難の技なので、「完結」と聞いて惜しむ反面どこかで安堵している自分がいます。…あ…「第1期完結」なの…へぇ…そ、そうなんだ…。第2期がはじまっても感想が更新されなかったときは察...
  • あれたんていが ないている -『一つ屋根の下の探偵たち』感想

    森川智喜『一つ屋根の下の探偵たち』を読了。当ブログでは“名探偵三途川理”シリーズでおなじみ森川氏による1冊。青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア』を彷彿とさせる探偵2人のシチュエーションだけど、あちらがあくまでトリック重視のスタイリッシュなミステリーだとすると、こちらはキャラクターに視点を寄せた人間味があってややクセのあるミステリー。同じコーヒーだけど豆が違うみたい...

    2017年10月31日

  • 異端者などいるのだろうか -『テロリストのパラソル』感想

    藤原伊織『テロリストのパラソル』を読了。たぶん中高生ぐらいのときに読んでさっぱりだった大沢在昌氏の〈アルバイト探偵(アイ)〉シリーズ以来のハードボイルド小説だったけど「龍が如く」(ゲーム)で鍛えてきた私に隙はなかった。おそるおそるでしたが読みやすくておもしろかったです。そういえば12月に「龍が如く 極2」が出るそうですね。買います。 私「ハ...

    2017年9月22日

  • あの頃のワクワクに帰ろう -『ほうかご探偵隊』感想

    倉知淳『ほうかご探偵隊』を読了。ブログ運営の参考にしている某読書ブログで紹介されていて、気になったので手にとりました。「ほうかご」をあえて平仮名にしたタイトルや、小学校が舞台であること、小学生が主人公であることから西澤保彦『いつか、ふたりは二匹』のような子供向けのジュブナイル的な作品なのかなと思っていたら容赦なかった。大人も舌を巻く圧巻の真相。『日曜の夜は出たくない...
  • 黒猫は探偵の象徴 -『黒猫シャーロック ~緋色の肉球~』感想

    和泉弐式『黒猫シャーロック ~緋色の肉球~』を読了。前回の記事にも書いたとおり先日の旅行用にと『サヨナラ、おかえり。』と一緒に購入した1冊です。猫島に行く予定だったので猫の小説を、と手にとったものの、結局フェリーの都合で猫島には行けず活字の猫を堪能するだけになってしまったけれどシャーロックがイケメンでアイリーンが美しかったから許した。 黒猫...
  • existかそれともneedか -『永劫回帰ステルス 九十九号室にワトスンはいるのか?』感想

    若木未生『永劫回帰ステルス 九十九号室にワトスンはいるのか?』を読了。大好きな『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』などを手がける紅玉いづき氏が本書の発売をtwitterで告知していたので、ならば自分の波長にも合うかもしれない、と手にとった1冊。人を選ぶ作品だけど私は結構嫌いじゃないです。 予測不可能な心理学ミステリー 大学に入...

    2017年8月8日

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。