• 不完全な葦でありたい -『夢みる葦笛』感想

    上田早夕里『夢みる葦笛』を読みました。文庫裏のあらすじに「「人間とは何か」を問う」とあって良書の予感はしたものの、目次を見たとき「これは挫折するかもしれない」と不安もよぎり。積ん読が尽きた頃にようやくおそるおそる読みはじめたのですが、あのね、最高におもしろかった。それでは本書を読んで考えたこと約1万文字、どうぞ。 人間と世界の本質を問う短編集 ある日...
  • 捨てられないスタバの紙袋の使い道を考えた結果おしゃれなブックカバーになった

    先日、兄夫婦から誕生日プレゼントをもらいました。スターバックスのシンプルなロゴ入りマグと粉末スティックの詰めあわせでした。実用性の塊をくれるあたりこの2人さすがわかってる!そういうところ好き!そんなメモリアルな紙袋は当然捨てられるわけがないので、前々から気になっていた紙袋をリメイクしてブックカバーをつくるというのをやってみることにしました。 紙袋ブックカバーをつく...

    2019年2月17日

  • 立てば芍薬 座れば牡丹 綻ぶ謎は百合の花 -『昭和少女探偵團』感想

    彩藤アザミ『昭和少女探偵團』を読みました。表紙に惹かれて手には取ったものの「歴史は興味ないんだよなぁ」と一瞬怖気づき、だけど自室の本棚を思いだしてみたら普通に伽古屋圭市『からくり探偵・百栗柿三郎』とか紅玉いづき『大正箱娘 見習い記者と謎解き姫』とかあったので、なんだ杞憂かとそのままレジへ持っていきました。結論から言うと買って大正解。思っていた以上におもしろかった! ...
  • 人間の巣観察キット -『半分世界』感想

    石川宗生『半分世界』を読みました。あらすじを読んだとき「一瞬にして19329人となった」という部分があまりに謎すぎて真顔で「好き……」とつぶやいてしまったので素直に購入。絶対にありえない状況でいやに冷静すこぶる真面目という小説全体の雰囲気がユーモラスで、そして、読んでいるとき私の頭の中ではアリ(人間)がせっせと巣をつくっていました。は?説明します。 見ろ!人がアリ...
  • 私たちは残酷で愛おしく、危うい -『トランクの中に行った双子』感想

    ショーニン・マグワイア『トランクの中に行った双子』(原島文世・訳)を読みました。以前読んだ『不思議の国の少女たち』の続編ですが、おなじみジャックとジルを主人公に2人がエリノアのホームに来る前の、ヴァンパイアの世界に行った当時の物語なので前日譚と言ったほうがいいでしょう。現実の世界にありながら非現実の世界によりそった前作に対し、こちらは非現実の世界にありながら現実の世界によりそっていた印象、...
  • 熱と羊の記憶

    1月13日、連休中日の、昼頃のことだ。 布団から起きあがった瞬間、「あ、これダメなやつだ」と思った。めまいがする。視界が左右にはっきり揺れるほどのこの感覚は、随分昔に親友と某テーマパークのコーヒーカップに乗って全力でまわったときと、あとは朝5時まで酒を飲んだあの日のえげつない酔っぱらいかた以来で、起きただけでこれはつまり、相当ヤバい。 とはいえ、昼食時だったので、ひとま...

    2019年1月24日

  • おもしろかった小説の設定を組み合わせたら“個人的に一番おもしろい小説”がつくれるのか?【2018年版】

    2018年おもしろかった小説は? 『サーカスの夜に』 『紙の魔術師』 『それは宇宙人のしわざです』 『カーテンコール!』 『僕には世界がふたつある』 『あずかりやさん』 『カラスのジョンソン』 『京洛の森のアリス』 『わるいうさぎ』 『会社を綴る人』 ...

    2019年1月8日

  • 残酷で美しい世界に帰ってきてしまった -『不思議の国の少女たち』感想

    ショーニン・マグワイア『不思議の国の少女たち』(原島文世・訳)を読みました。まるでアリスのように“不思議の国”に迷いこみ、そして、現実世界へ帰ってきてしまった・・・・・・・・・あとの少年少女たちを描くリアルとファンタジーの調和が新鮮でページをめくるのを惜しむように読んできたのですが、なにせ水のように「浸透していく」と言いあらわすのが一番しっくりくるような作品で、もちろん「おもしろかった!」...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。