• 新天地はエメラルドの都 -『オズの世界』感想

    小森陽一『オズの世界』を読みました。随分前に書店の平積みで見かけて、遊園地の裏側が題材と知って気にはなっていたのですが読もうかどうか悩んでいるうちに映画化されて推されていました。また平積みで目にする機会が多くなったのでじゃあ読んでおこうかなと。思っていたよりは楽しめましたが映画は今のところ観る予定はありません。 没入できる自然な文体 配属先はローカル...

    2018年11月19日

  • 誰かの人生を共有するのは楽しい -『強運の持ち主』感想

    瀬尾まいこ『強運の持ち主』を読みました。ここ最近心がじんわりあたたまるような話がつづいているので、同じテイストのものが読みたいなぁ、と書店を物色しているときに平積みで見つけました。表紙のイラストと色合いがめちゃ好み。瀬尾氏の作品は学生の時分に『図書館の神様』を読んだことがあったかな。まだ読解力ポンコツ時代だったのであまり作品を理解できず、ふわふわした印象に留まっていた作家だったので...
  • 世界は誰がつくるのだろう -『わるいうさぎ』感想

    中島さなえ『わるいうさぎ』を読みました。読みやすそうなページ数と動物たちが主人公という点に惹かれたものの、前に読んだ『いちにち8ミリの。』が今やまったく内容を思いだせないほど自分の肌に合わなかったのでどうしたものかと書店をぐるぐるまわって悩んだ末、結局買いました。今度は私にもジャストフィット。読んでよかった! 「童話集」と見せかけて ラボから脱走した...

    2018年11月10日

  • 羅針盤は道を教えるものか,押しつけるものか -『京洛の森のアリスⅡ 自分探しの羅針盤』感想

    望月麻衣『京洛の森のアリスⅡ 自分探しの羅針盤』を読みました。表紙のかわいさ、全年齢対象のやわらかな言葉選びながらグイグイ引きこまれる読みやすさ抜群の文章、作品のよいところを説明するには本当は記事で伝えるよりも本シリーズの趣旨に沿って実際に読んでもらって個々の感性に委ねるのが一番なのだろうなというところは相変わらず。宣言どおりつづけて記事にしました。有言実行。 ど...
  • 最“京”にかわいい(だけじゃない)アリス in アナザー京都! -『京洛の森のアリス』感想

    望月麻衣『京洛の森のアリス』を読みました。タイトルを見てのとおり、かの有名なルイス・キャロル『不思議の国のアリス』をベースにした和洋折衷なファンタジーです。たまたま直近で似たような和洋折衷ファンタジーを読んで大失敗したところだったので警戒していたのですが、杞憂も杞憂、自分の好みに刺さりまくる超ドストライク本でした。和モノは苦手なんだけどその和の使いかたがちょうどよくて。そうそう、和...
  • あの紙ひこうきのように -『皿と紙ひこうき』感想

    石井睦美『皿と紙ひこうき』を読みました。高校生ぐらいのときに購入して、そのときはこれといった感想なかったはずなんだけど、何度か本棚を整理する機会はあったのにずっと持ちつづけている1冊。とうとう内容も思いだせなくなってきて、どういう話だったんだっけ、と再読に至りました。持ちつづけていた理由はわかりません。だけどこれからも私はふとしたときにこの本を読み返すのだろうなと思いました。 ...
  • なぜシロクマだったのか -『レプリカたちの夜』を考察する

    !ネタバレ注意! 本記事は一條次郎『レプリカたちの夜』について独自に解釈した考察記事です。作品の結末や核心に触れる部分を引用する場合がございますので、作品既読の方またはこれを承諾する方が読むことを推奨します。また、記載される内容はあくまで筆者個人の意見です。以上のことに同意していただける方のみ続きをお読みください。 一條次郎『レプリカたちの夜』を読んで思...
  • シロクマの投げっぱなしジャーマン -『レプリカたちの夜』感想

    一條二郎『レプリカたちの夜』を読みました。突然ですが、私は子供の頃、父に足首をつかんでそのままブランコのように前後に揺らすかぐわんぐわんぶんまわしてもらうのがめちゃくちゃ楽しくて好きでした。公園にもそういうぶんまわし遊具あったけど今は撤去されちゃったなぁ。鳥かごみたいなやつ。どうしてそんな話になるかというとそういう小説だったからです。投げっぱなしジャーマン。話を聞いた知人からブログタイトル...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。