• 狸が恋なら熊は友-『シロクマ係長の奇跡』感想

    鈴森丹子『シロクマ係長の奇跡』を読みました。鈴森氏の作品は『さよならの神様』以来およそ1年ぶり。ああ、もう1年以上経つんだ、感慨深い。新シリーズがはじまったということはまさかポコ侍シリーズは終わっ……いや、そこらへん、明言されてないし。たぶん。終わってないし。というわけで 狸にゴリゴリの未練があるので正直なところ本書に期待をしすぎないように、とセーブしていたのですが、完全に杞憂だっ...
  • 人と人とはトオリヌケ キンシ -『トオリヌケキンシ』感想

    加納朋子『トオリヌケキンシ』を読みました。先々週くらいに書店へ行ったとき例のごとく知人に適当に数冊小説を見繕ってもらったのですが、そのうちの1冊がこれで、私も書架をまわっているあいだに気になった1冊。見れば作者は『カーテンコール!』の加納氏だし、私と知人どちらの目にも留まるということはこれまで一度もなかったので絶対に良作だろうと確信して買ったら本当に良作でした。 ...
  • 常識破りの美しさ 残り80% -『最後にして最初のアイドル』感想

    草野原々『最後にして最初のアイドル』を読みました。久しぶりに平積みではなく棚差しから見つけてきた1冊。初読の作家です。まずはタイトルに惹かれ、早川書房が出すタイトルっぽくないなと不思議に思いながら手にとるとあら表紙がかわいい。色彩の暴力に圧倒されながらあらすじに目を通すと「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」という文字。情報の大渋滞。なにこれは。絶対お...
  • 別々に大切にするということ -『通い猫アルフィーと海辺の町』感想

    レイチェル・ウェルズ『通い猫アルフィーと海辺の町』(西村和美・訳)を読みました。前作『通い猫アルフィーとジョージ』以来約1年ぶりとなるアルフィーとの再会。新刊が出ていたことをじつはまったく知らなくて、たまたま書店で見つけたときうれしさのあまり「おおっ!」と小さく声が出てしまいました。8月の暮れ、夏の終わりに読了が間に合ってよかった。溶けるような暑さの中、行間からそよぐ涼しげな海風が心地よか...
  • 続・釣りをする

    亀仙人 < もうちっとだけつづくんじゃ。 2泊3日の旅程を終えて帰ったあと、汗をかいて疲れをとろう!となにかしらのえげつない香辛料が効きまくった火鍋を食べたんですが、翌日もちろん胃を壊しました。3回くらい吐きました。大型連休中に胃を壊すのはこれで3回目。年々吐くときの手際のよさに磨きがかかってきている。 今回は突然さしこみがやってくるというニュータイプの...

    2018年8月27日

  • 釣りをする

    某日、釣りに行ってきました。 現場に到着したの20時くらいだったかな。私自身は釣りの知識や技術があるわけではなく何度目かのにぎやかしみたいなものでしたが、今回は穴釣りということで、竿の先に鈴をつけて海底に糸を垂らしたまま鈴が鳴る=魚がかかるまでしばらく待機――これを明け方までつづけます。 夏だし夜だし海だしで「涼しいんだろうなぁ」くらいにタカをくくっていたら結構冷えまし...

    2018年8月27日

  • 1年あずけると3万6500円 -『あずかりやさん 桐島くんの青春』

    大山淳子『あずかりやさん 桐島くんの青春』を読みました。読書感想文特集2018年版でも紹介し、まだ記憶に新しい3月読了本『あずかりさん』の続編です。続編があることは知っていて、文庫化するのをうずうず待っていたのですがこのあいだ書店で念願の文庫を見つけたので即購入。積ん読の山でしばらく寝かせることになってしまいましたがとうとう読むことができました。 クオリティーは変...
  • 読書感想文におすすめの小説5選【2018年版】

    毎年恒例、読書感想文特集がじわじわ読まれはじめる季節となりました。学生のみなさんこんにちは。年がら年中趣味で読書感想文を書いている者です。 とはいえ件の読書感想文特集を書いたのは2016年。さすがに情報の鮮度が落ちてきたのでは、という一方的な老婆心から新作【2018年版】を書きました。今回は上半期のハイライトも兼ねるため今年7月までに読んだ小説――しかも刊行年が最近の小説から...

    2018年8月8日

Ranking
Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。