• トートロジーまたはマトリョーシカ -『黒猫の回帰あるいは千夜航路』感想

    森晶麿『黒猫の回帰あるいは千夜航路』を読了。『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』から書きはじめた歴代の記事を読んでもらえばわかるとおり、黒猫シリーズは毎回内容が高次元すぎて私ごときが感想を述べるのは至難の技なので、「完結」と聞いて惜しむ反面どこかで安堵している自分がいます。…あ…「第1期完結」なの…へぇ…そ、そうなんだ…。第2期がはじまっても感想が更新されなかったときは察...
  • 笑いに犠牲はつきものだ、けど。 -『ハガキ職人タカギ!』感想

    風カオル『ハガキ職人タカギ!』を読了。タイトルからこってこてのギャグを想像していたのだけれど、思っていたより平穏で、悩んで、青春していました。私も中学時代はラジオ聴いていたなぁ。bayfm。当時ファンだった嵐の二宮君がラジオをやっていて、今でもラジオ聴くときはその名残でbayfm聴いてしまう。毎週ラジオを聴きながらノートに放送内容をメモしたりしていたっけ。なつかしい...
  • プラチナは誰のもの? -『プラチナタウン』感想

    楡周平『プラチナタウン』を読了。知人が最近推しつつある作家で便乗して私も1冊読んでみました。経済小説?ビジネス小説っていうんだろうか。政経とかこの世で一番興味のないジャンルだったことを途中思いだすもあとのまつり。うにょうにょ読んでしまって読了まで1週間以上かかってしまった。でも、まるで興味のないジャンルをわざわざ1週間もかけてしかも読みきったというところに作者のただ...

    2017年11月9日

  • お茶漬けよ永遠なれ

    有間カオル『魔法使いのハーブティー』を読了し、ブログへの昇華作業も片づけたある日、積ん読から次の1冊を選ぶとあとには風カオル『ハガキ職人タカギ!』だけが残った。カオルにカオル。あら偶然。――違うそうじゃない。ストックがたった1冊。圧倒的…!圧倒的積ん読不足…!(ざわ…ざわ…)というわけで、積ん読を補充するために書店へ出かけた。 読みたい本を決めてこなか...

    2017年11月2日

  • あれたんていが ないている -『一つ屋根の下の探偵たち』感想

    森川智喜『一つ屋根の下の探偵たち』を読了。当ブログでは“名探偵三途川理”シリーズでおなじみ森川氏による1冊。青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア』を彷彿とさせる探偵2人のシチュエーションだけど、あちらがあくまでトリック重視のスタイリッシュなミステリーだとすると、こちらはキャラクターに視点を寄せた人間味があってややクセのあるミステリー。同じコーヒーだけど豆が違うみたい...

    2017年10月31日

  • この1杯が魔法になる -『魔法使いのハーブティー』感想

    有間カオル『魔法使いのハーブティー』を読了。表紙と版元的にラノベっぽいなぁと一度購入するのをやめた作品なのですが、どっこい、良作でした。ちょいちょい不覚にも涙腺がゆるんでしまった。お冷にローズマリーを入れた水を瓶で出してくれる洒落たロシア料理のお店を知っているんですが久しぶりに行きたくなりました。さむくなってきたし今週末にでも行ってこようかな。ビーフストロガノフが美...
  • 息苦しさはオーダーメイド -『かがみの孤城』感想

    辻村深月『かがみの孤城』を読了。昔『名前探しの放課後』を広告かなにかで見かけておもしろそうだなと興味をもって以来、私の中で〈興味はあるのになかなか読まない〉という位置づけになりつつある辻村作品。3年前ぐらいに『ぼくのメジャースプーン』を読んで、その前後にたしか『オーダーメイド殺人クラブ』も読んだことがあります。知人が過去に辻村作品を結構読んでいるらしく、本棚に何作品か置いて...
  • 「アイドル」という物語

    アイドルが好きだ。 初めて好きになったアイドルは嵐。二宮君のファンだった。今でも「キャラメル・ソング」とかときどき無性に聴きたくなる。良曲だよね。今でもアイドルソングというジャンルをぼちぼち聴くけれど、でも、やっぱりアイドルに恋の歌は唄ってほしくないなぁ、と、個人的には思ってしまう。 業界としてのアイドルに別段詳しくないけ...

    2017年10月17日

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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。