著者名「相沢沙呼」の感想記事一覧
  • 穴があってもいい、それは「ドーナツの穴」なのだから。-『教室に並んだ背表紙』感想

    電子書籍でさらりと読んで流す予定だったのですが、無理でした。泣くほど好きだった。タイトルやあらすじから察せられるように本や物語を愛する人たちのための小説だとはもちろん思うのですが、逆に、物語やあるいは読書そのものに意義を見出せないという人たちへのトリガーにもなるような言葉がふんだんに盛りこまれています。 個人的に印象に残っているのは、「その背に指を伸ばして」の主人公・...
  • 今がつらいときに読んでほしい心の避難場所5選

    最近話題の漫画、コナリミサト『凪のお暇』1巻を読んだのですが、諸々のトラウマがよみがえり心がぺしゃんこになりました。目は漫画を追っているはずなのに頭の中は物語を無視して各時代の自分たちが盛大な懺悔大会をはじめてしまうので、買ったその日以来読んでいない。今後も読める気がしない。 もうすぐ5月か、と思ったときまっさきに『凪のお暇』が脳裏をかすめたのは、たぶ...

    2018年4月26日

  • 『雨の降る日は学校に行かない』(相沢沙呼 著)

    先日、岩手に旅行へ行ったのですが、持っていった小説を帰りの電車で読了してしまったので急遽書店に立ち寄り相沢沙呼『雨の降る日は学校に行かない』を補充。新幹線の中でサクサク読みました。 氏の小説は太もも小説改め『マツリカ・マジョルカ』以来3作目だけど、今作も変わらず不器用な少年少女たちのため懸命に言葉を捧げているような、作者の人柄と想いを感じる作品の雰囲気...
  • 『マツリカ・マジョルカ』(相沢沙呼 著)

    先月のことですが、 原宿で開催されていた『魔女の秘密展』に行ってきました。 魔女の定義を記した書物。 実際の拷問に使われた器具。 女性が“魔女”に仕立てあげられる過程。 展示を見てまわっているあいだ、 心のどこかで思っていたんです。 言葉とやり方が変わっただけで、 今も変わっていないんじゃないかって。 人にラベルを貼って、自...
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佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。