著者名「瀬尾まいこ」の感想記事一覧
  • 日常小説に需要はあるか? -『傑作はまだ』感想

    「まだふっくらしてるよ。ここの大福、豆が本当にうまいんだ」 私が好きになる小説はいつも決まってなにかを食べている。物語のさして重要ではない場面で、丁寧に、とても美味しそうに。瀬尾まいこ『傑作はまだ』では大福が、主人公の加賀野こと〈俺〉と、生まれてから25年間一度も会ったことのない息子・智をつなぐある種のキーワード、いや、キーフードになっている。「人」を「良」くする、で「食べる」だ...
  • 誰かの人生を共有するのは楽しい -『強運の持ち主』感想

    瀬尾まいこ『強運の持ち主』を読みました。ここ最近心がじんわりあたたまるような話がつづいているので、同じテイストのものが読みたいなぁ、と書店を物色しているときに平積みで見つけました。表紙のイラストと色合いがめちゃ好み。瀬尾氏の作品は学生の時分に『図書館の神様』を読んだことがあったかな。まだ読解力ポンコツ時代だったのであまり作品を理解できず、ふわふわした印象に留まっていた作家だったので...
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Writer
佐々木 麦 Sasaki Mugi
小説を書いたり、読んだ小説についてあれこれ考察をするのが趣味です。雑食のつもりですが、ユニークな設定やしっかりとテーマがある小説に惹かれがち。小説の他に哲学、心理学、美術、異形や神話などの学術本も読みます。